出生から死亡までの戸籍の集め方|相続手続きに必要な戸籍をたどる方法
相続の手続きを始めると、金融機関や法務局から「被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべてご用意ください」と言われます。ところが、役所の窓口でそのまま同じことを伝えても、1通で済むわけではありません。戸籍は生涯に何度も作り替えられていて、そのたびに別の役所に保管されているからです。
本記事では、出生から死亡までの戸籍をどうやってたどり、どう請求するのかを、順を追って解説します。なぜこの作業が必要なのか、誰が相続人になるのかについては「相続人調査とは」をご覧ください。
📋 この記事でわかること
- 戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍の違い
- 前の戸籍をたどる具体的な手順
- 郵送請求のやり方と、かかる期間・費用
- 2024年3月に始まった広域交付制度の使い方と限界
戸籍には3つの種類がある
まず、集める書類の種類を押さえます。名前が似ていて混乱しやすいところです。
| 種類 | どんな戸籍か | 手数料 |
|---|---|---|
| 戸籍謄本 (現在戸籍) |
現在使われている戸籍。在籍している人がまだ1人以上いる状態 | 1通 450円 |
| 除籍謄本 | 死亡・婚姻・転籍などで、在籍者が全員いなくなった戸籍 | 1通 750円 |
| 改製原戸籍 | 法改正で様式が変わったときの、作り替える前の古いほうの戸籍 | 1通 750円 |
改製原戸籍は「かいせいげんこせき」と読み、現場では「はらこせき」と呼ばれることもあります。戦後の昭和23年、そしてコンピュータ化に伴う平成6年の改正が代表的で、それぞれ「昭和改製原戸籍」「平成改製原戸籍」と呼ばれます。平成の改製は市区町村ごとに実施時期が違うため、自治体によって年が異なります。
⚠️ ここが重要な点です。戸籍が作り替えられるとき、すでにその戸籍から抜けている人(結婚して別の戸籍に移った子、亡くなった子、離縁した養子など)の記載は、新しい戸籍に引き継がれません。つまり、改製後の戸籍だけを見ても、その人たちの存在に気づけないのです。だからこそ改製原戸籍までさかのぼる必要があります。
戸籍が作り替えられるタイミング
ひとりの人の戸籍は、次のような場面で新しくなります。
- 出生:親の戸籍に入る
- 婚姻:親の戸籍から抜け、夫婦の新しい戸籍が作られる
- 転籍:本籍地を移すと、移転先で新しい戸籍が作られる
- 分籍:成人が単独で新しい戸籍を作る
- 離婚:元の戸籍に戻るか、新しい戸籍を作る
- 養子縁組・離縁
- 法改正による改製
転籍を何度もしている方だと、生涯で5通も6通も戸籍が存在することになります。相続人調査の手間が読みにくいのは、この回数が人によってまったく違うためです。
戸籍をさかのぼる手順
ステップ1:本籍地を確認する
戸籍は本籍地の市区町村が管理しています。住所ではなく本籍地であることに注意してください。
本籍地が分からない場合は、被相続人の住民票の除票を「本籍地記載あり」で請求すると確認できます。請求先は最後の住所地の市区町村です。
ステップ2:死亡の記載がある戸籍を取る
本籍地の役所に、死亡が記載された戸籍(多くの場合は除籍謄本)を請求します。窓口でも郵送でも構いません。
ℹ️ このとき、申請書の使用目的欄に「相続手続きのため」と書き、備考欄などに「出生までさかのぼる、この役所にあるものすべて」と明記しておくのがコツです。担当者が保管分をまとめて出してくれることが多く、請求の往復が減ります。
ステップ3:戸籍を読み、前の戸籍を探す
ここが作業の中心です。受け取った戸籍の冒頭付近を見て、この戸籍がいつ・どこから作られたのかを確認します。手がかりになるのは、次のような記載です。
| 戸籍の記載 | 次に請求する先 |
|---|---|
| 改製 | 同じ役所にある改製原戸籍 |
| 転籍 | 転籍前の本籍地の役所 |
| 婚姻により入籍 | 結婚前にいた親の戸籍の本籍地 |
| 分籍 | 分籍前にいた戸籍の本籍地 |
記載された前の本籍地へ、今度はその役所に請求します。これを「出生」の記載が現れるまでくり返します。被相続人の出生日と、戸籍上の出生の記載が一致したところで完了です。
ステップ4:相続人の現在戸籍を取る
判明した相続人について、現在も生存していることを示す現在戸籍を取得します。発行から3か月以内などの期限を設けている金融機関があるため、あまり早く取りすぎないほうがよい場合もあります。
郵送で請求する方法
遠方の役所には郵送で請求します。次の4点を同封するのが基本です。
- 申請書:各市区町村のホームページからダウンロードできます
- 本人確認書類のコピー:運転免許証やマイナンバーカードなど
- 手数料分の定額小為替:郵便局で購入します。現金は不可です
- 返信用封筒:切手を貼り、宛先を記入したもの
あわせて、請求できる立場であることを示す資料(自分の戸籍謄本など、被相続人とのつながりが分かるもの)を求められます。
定額小為替の落とし穴
何通必要になるか事前には分からないため、金額を決めて送るのが難しいところです。多めに同封しておき、余りは返してもらう形が一般的です。定額小為替には1枚あたり200円の発行手数料がかかり、有効期限は発行日から6か月です。
期間の目安
郵送請求は、往復と役所内の処理を含めて1か所あたり1〜2週間かかります。前の戸籍が届かないと次の請求先が分からないため、作業は必ず直列になります。請求先が5か所あれば、それだけで1〜2か月を見込んでおく必要があります。
広域交付制度を使えるケース
2024年3月1日から、戸籍の広域交付制度が始まりました。本籍地以外の市区町村の窓口でも、他の自治体にある戸籍をまとめて請求できる制度です。全国の戸籍が1か所の窓口で受け取れるため、うまく使えば作業は大幅に短くなります。
ただし、次の制限があります。
- 請求できる人が限られる:本人、配偶者、父母・祖父母などの直系尊属、子・孫などの直系卑属のみです。兄弟姉妹の戸籍は請求できません。おじ・おばや甥・姪も対象外です
- 窓口で本人が請求する必要がある:郵送請求はできず、代理人による請求もできません
- コンピュータ化されていない戸籍は対象外:古い手書きの戸籍が残っている場合、その分は結局その役所に個別に請求することになります
- 顔写真付きの本人確認書類が必要:マイナンバーカードや運転免許証など
⚠️ つまり、お子さんが親御さんの戸籍を集めるケースでは強力ですが、相続人が兄弟姉妹のケースではほとんど使えません。また、古い戸籍が紙のまま残っていることは珍しくないため、広域交付だけで完結しないことも多いのが実情です。
つまずきやすいポイント
古い戸籍が読めない
昭和初期より前の戸籍は毛筆の手書きで、旧字体や変体仮名が使われています。日付も元号表記です。見慣れないと、どこに前の本籍地が書かれているのかを見つけることすら難しく感じます。
戦災などで戸籍が失われている
戦災や災害で戸籍が滅失している地域があります。この場合は役所から「告知書」や「廃棄証明書」を出してもらい、それを添えて手続きを進めます。集められないこと自体は、きちんと証明すれば問題になりません。
どこまでさかのぼれば終わりか判断できない
「出生」の記載にたどり着いたかどうかは、戸籍の様式を理解していないと判断がつきにくいところです。途中で止まっていると、金融機関や法務局の窓口で差し戻され、そこからまた数週間かかります。
市区町村の合併で請求先が変わっている
古い戸籍に記載された地名が、現在は別の自治体になっていることがあります。その場合は現在の自治体に請求します。
集め終わったら
戸籍が揃ったら、相続関係説明図を作成して相続人を整理します。あわせて、法務局の法定相続情報証明制度を利用しておくと便利です。戸籍一式を提出して相続関係を一覧にした書面を交付してもらえ、必要な通数を無料で受け取れます。以後の金融機関での手続きは、分厚い戸籍の束ではなくこの1枚で足りるようになります。
相続人が確定したら、次は遺産の分け方を話し合い、遺産分割協議書にまとめる段階に進みます。
まとめ:ご自身で進めるか、任せるか
本籍地の移動が少なく、相続人がお子さんだけというケースであれば、広域交付制度を使ってご自身で集めることも十分に可能です。
一方、次のような場合は専門家に任せたほうが早く確実です。
- 相続人に兄弟姉妹や甥・姪が含まれる(広域交付が使えません)
- 被相続人が何度も転籍している
- 平日に役所へ行く時間が取れない
- 相続登記の期限(取得を知った日から3年)が近づいている
- 古い戸籍が読めず、たどり方が分からない
戸籍集めから遺産分割協議書まで、まとめてお任せください
相続人調査・戸籍収集と遺産分割協議書の作成を、福岡市中央区の女性行政書士が丁寧にサポートします。
相続登記や相続税申告が必要な場合は、提携する司法書士・税理士をご紹介します。
オンラインでのご相談にも対応しています。
ご相談は無料・秘密厳守です。LINEなら予約もスムーズです。
▼ あわせて読みたい関連記事
▶ 相続人調査とは|戸籍の集め方と行政書士に依頼するメリット
SEED行政書士事務所(福岡市中央区)
特定行政書士 森本智恵子
✉ mori.connect.gyosei@gmail.com
相続人調査・戸籍収集、遺産分割協議書の作成に関するご相談は、福岡市中央区のSEED行政書士事務所へ。
対応エリア:福岡市(中央区・博多区・東区・南区・城南区・早良区・西区)、糸島市など。
オンライン相談により、遠方の方のサポートも可能です。
著者
特定行政書士 森本 智恵子
SEED行政書士事務所(福岡市中央区)
福岡市中央区を拠点に、ご家族を亡くされた方の相続手続きをサポートしています。相続は、書類を揃えるだけの作業ではありません。お客様お一人おひとりの人生の節目に立ち会う仕事だと考え、親身かつ迅速な対応を信条としています。
戸籍の収集は日常的に扱っている分野です。古い戸籍の読み取りや、請求先が何か所にもわたるケースにも対応いたします。難しい言葉を使わず、分かりやすく丁寧な説明を心がけておりますので、初めての方もどうぞご安心ください。
