相続人調査とは|戸籍の集め方と行政書士に依頼するメリット
相続の手続きを始めようとしたとき、金融機関や法務局から最初に求められるのが「戸籍一式」です。預金の解約にも、不動産の名義変更にも、遺産分割協議書の作成にも、まず誰が相続人なのかを公的に証明することが出発点になります。
この作業を相続人調査といいます。本記事では、相続人調査とは何か、どの範囲の戸籍が必要になるのか、そして専門家に任せた場合に何が変わるのかを、行政書士が整理して解説します。
📋 この記事でわかること
- 相続人調査とは何か、なぜ出生までさかのぼるのか
- 誰が相続人になるのか(順位と代襲相続)
- 相続人調査の具体的な流れ
- 行政書士に依頼するメリットと費用の目安
相続人調査とは
相続人調査とは、亡くなった方(被相続人)の戸籍をさかのぼって収集し、法律上の相続人が誰であるかを確定させる手続きのことです。
「相続人なら家族なのだから分かっている」と思われるかもしれません。しかし相続の手続きでは、当事者の認識ではなく、戸籍という公的な記録によって相続人を証明する必要があります。金融機関も法務局も、戸籍が揃っていなければ手続きに応じてくれません。
なぜ出生までさかのぼる必要があるのか
相続人調査では、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍を集めます。死亡が記載された最新の戸籍だけでは足りません。
理由は、過去の戸籍にしか記載されていない相続人がいる可能性があるためです。たとえば次のようなケースです。
- 前の婚姻関係のときに生まれた子がいる
- 認知した子がいる
- 養子縁組をした、または離縁した子がいる
- 幼くして亡くなった子がいて、その子に子(被相続人の孫)がいる
こうした事実は、現在の戸籍からは読み取れないことがあります。戸籍は転籍・婚姻・法改正などのたびに新しく作り替えられ、その際にすでに抜けた人の情報は新しい戸籍に引き継がれないという性質があるためです。だからこそ、生まれたときの戸籍までさかのぼって確認します。
相続人になるのは誰か
民法は、相続人になる人とその順位を定めています。
| 立場 | 相続人になるか |
|---|---|
| 配偶者 | 常に相続人になる |
| 第1順位:子 | 子がいれば相続人になる |
| 第2順位:父母などの直系尊属 | 子がいない場合に相続人になる |
| 第3順位:兄弟姉妹 | 子も直系尊属もいない場合に相続人になる |
上の順位の人が1人でもいれば、下の順位の人は相続人になりません。子が1人でもいれば、被相続人の親や兄弟姉妹は相続人にならない、ということです。ケース別の考え方は「法定相続人の範囲と順位」で詳しく解説しています。
代襲相続に注意
相続人になるはずだった子が被相続人より先に亡くなっている場合、その子(被相続人の孫)が代わりに相続人になります。これを代襲相続といいます。孫も亡くなっていれば、ひ孫へと下の世代に引き継がれます。
兄弟姉妹が相続人になるケースでも代襲は起こりますが、こちらは甥・姪までの一代限りです。
兄弟姉妹が相続人になると調査が一気に重くなる
お子さんがおらず、ご両親もすでに亡くなっている方が亡くなった場合、相続人は兄弟姉妹になります。このとき必要な戸籍は次のように膨らみます。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 被相続人の父母それぞれの出生から死亡までの戸籍(兄弟姉妹が全員そろっているかを確認するため)
- 兄弟姉妹全員の現在の戸籍
- すでに亡くなっている兄弟姉妹がいれば、その方の出生から死亡までの戸籍(甥・姪を確認するため)
⚠️ 本籍地が何度も変わっていると、請求先の役所が10か所以上になることもあります。ご自身で進めようとして途中で行き詰まりやすいのが、このパターンです。
相続人調査が必要になる場面
相続人調査は、相続手続きのほぼすべての入口になります。
- 預貯金の解約・払戻し:金融機関ごとに戸籍一式の提出を求められます(銀行預金の相続手続き)
- 遺産分割協議:相続人全員が参加していない協議は無効になるため、先に相続人を確定させる必要があります
- 不動産の名義変更(相続登記):法務局への添付書類として必要です
- 相続放棄:家庭裁判所への申述に添付します
- 自動車・株式などの名義変更
ℹ️ 不動産の相続登記は2024年4月1日から義務化され、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければならないことになりました。正当な理由なく怠ると過料の対象になります。手続きを先延ばしにしにくくなった点は押さえておいてください。
相続人調査の流れ
1. 被相続人の最新の戸籍を取る
まず、死亡の記載がある戸籍(除籍謄本)を本籍地の市区町村から取得します。本籍地が分からない場合は、本籍地入りの住民票の除票を取ると確認できます。
2. ひとつ前の戸籍へさかのぼる
取得した戸籍を読み、その戸籍が作られる前にどこの戸籍にいたのかを確認して、その役所へ請求します。これを出生時までくり返します。戸籍の読み方とさかのぼり方は、「出生から死亡までの戸籍の集め方」で詳しく解説しています。
3. 相続人の現在の戸籍を取る
判明した相続人について、現在も生存していることを確認するため、それぞれの現在戸籍を取得します。
4. 相続関係を整理する
集めた戸籍をもとに相続関係説明図を作成し、相続人を確定させます。ここまでが相続人調査です。
5. 法定相続情報一覧図を作っておくと後が楽になる
法務局の「法定相続情報証明制度」を使うと、戸籍一式を提出して相続関係を一覧化した書面(法定相続情報一覧図の写し)を交付してもらえます。必要な通数を無料で受け取れるため、複数の金融機関で同時に手続きを進めたい場合に便利です。分厚い戸籍の束を1行ずつ確認してもらう必要がなくなり、窓口での待ち時間も短くなります。くわしくは「法定相続情報一覧図とは」をご覧ください。
行政書士に依頼するメリット
職務上請求により手続きが簡潔になる
戸籍は誰でも自由に取得できるものではなく、請求できる人の範囲が法律で決められています。2024年3月から始まった戸籍の広域交付制度によって、本籍地以外の市区町村の窓口でもまとめて請求できるようになりましたが、この制度を利用できるのは本人・配偶者・父母や祖父母・子や孫に限られます。兄弟姉妹の戸籍を取りたい場合や、代理人が窓口に行く場合には使えません。
行政書士は、受任した業務に必要な範囲で職務上請求という方法により戸籍を取得できます。相続人がご兄弟のケースや、遠方の役所が複数にわたるケースでは、この差が大きく出ます。
時間と手間がかからない
郵送で戸籍を請求すると、1か所あたり往復で1〜2週間かかります。請求先が5か所あれば、順にさかのぼる必要がある以上、それだけで1〜2か月です。定額小為替を郵便局で購入し、申請書を書き、返信用封筒を用意する作業も役所の数だけ発生します。
平日に窓口へ行く時間が取りにくい方、ご家族を亡くされて他にもやるべきことが山積している方にとっては、ここを任せられること自体が大きな意味を持ちます。
抜け漏れを防げる
古い戸籍は手書きで、旧字体や変体仮名が使われています。慣れていないと、どこまでさかのぼれば「出生まで」に到達したのか判断がつきません。
戸籍が1通でも抜けていると、金融機関や法務局で受け付けてもらえず、やり直しになります。もっと深刻なのは、相続人を見落としたまま遺産分割協議をしてしまうケースです。相続人が1人でも欠けた遺産分割協議は無効となり、すべてやり直しになります。
そのまま遺産分割協議書の作成につなげられる
相続人が確定したら、次は誰が何を相続するかを話し合い、その内容を遺産分割協議書にまとめる段階に進みます。相続人調査から書類作成まで同じ窓口で進められるため、経緯をあらためて説明し直す必要がありません。書き方は「遺産分割協議書の書き方」で解説しています。
費用の目安
戸籍の取得自体には、次の実費がかかります。
| 書類 | 手数料 |
|---|---|
| 戸籍謄本(現在戸籍) | 1通 450円 |
| 除籍謄本 | 1通 750円 |
| 改製原戸籍謄本 | 1通 750円 |
| 住民票の除票・戸籍の附票 | 1通 300円程度(自治体により異なる) |
これに郵送費と定額小為替の発行手数料が加わります。実費だけでも、請求先が多ければ数千円から1万円程度になります。
専門家に依頼する場合は、これに報酬が加わります。相続人の人数や戸籍の通数によって変わるため、当事務所ではお話をうかがったうえでお見積りをお出ししています。
当事務所で対応できる範囲
当事務所では、相続人調査・戸籍収集と遺産分割協議書の作成を承っています。
なお、不動産の相続登記は司法書士、相続税の申告は税理士の業務です。これらが必要な場合は提携する専門家をご紹介しますので、窓口を探し直していただく必要はありません。
まとめ
- 相続人調査とは、戸籍をさかのぼって法定相続人を確定させる手続きです
- 被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍が必要です
- 兄弟姉妹が相続人になる場合、必要な戸籍は大幅に増えます
- 相続人が1人でも欠けた遺産分割協議は無効になります
- 2024年3月からの広域交付制度は便利ですが、請求できる人の範囲が限られています
💬「戸籍を集めてくださいと言われたが、どこから手をつければよいか分からない」
💬「相続人が兄弟で、連絡が取れていない人がいる」
このような段階でも構いません。まずはお気軽にご相談ください。
戸籍集めから遺産分割協議書まで、まとめてお任せください
相続人調査・戸籍収集と遺産分割協議書の作成を、福岡市中央区の女性行政書士が丁寧にサポートします。
オンラインでのご相談にも対応しています。
ご相談は無料・秘密厳守です。LINEなら予約もスムーズです。
▼ あわせて読みたい関連記事
▶ 出生から死亡までの戸籍の集め方|相続手続きに必要な戸籍をたどる方法
▶ 法定相続人の範囲と順位|誰が相続人になるかをケース別に解説
▶ 法定相続情報一覧図とは|作り方・必要書類・メリットをわかりやすく解説
▶ 銀行預金の相続手続き|必要書類と流れ、口座凍結への対応をわかりやすく解説
SEED行政書士事務所(福岡市中央区)
特定行政書士 森本智恵子
✉ mori.connect.gyosei@gmail.com
相続人調査・戸籍収集、遺産分割協議書の作成に関するご相談は、福岡市中央区のSEED行政書士事務所へ。
対応エリア:福岡市(中央区・博多区・東区・南区・城南区・早良区・西区)、糸島市など。
オンライン相談により、遠方の方のサポートも可能です。
著者
特定行政書士 森本 智恵子
SEED行政書士事務所(福岡市中央区)
福岡市中央区を拠点に、ご家族を亡くされた方の相続手続きをサポートしています。相続は、書類を揃えるだけの作業ではありません。お客様お一人おひとりの人生の節目に立ち会う仕事だと考え、親身かつ迅速な対応を信条としています。
戸籍の収集は日常的に扱っている分野です。古い戸籍の読み取りや、請求先が何か所にもわたるケースにも対応いたします。難しい言葉を使わず、分かりやすく丁寧な説明を心がけておりますので、初めての方もどうぞご安心ください。
